擬人化したムカデの表情がユーモラスである。
構成も技術も手なれたもので、そつがないが実際に使う場合は着物の色・柄との合わせ方が難しいかもしれない。その意味では展覧会用のショーケース・アートといった方がよいのだろう。
虫をモチーフにしたジュエリーにはアール・ヌーボー時代のラリックなどの先例がある。この作品の場合は全体の自然主義的造形と様式化した頭部の処理との整合性に今一つ不徹底なものを感じるが、意欲的な表現は十分に魅力的である。
もう一つの海獣文金具も古代中国の古典的な題材のアレンジに創意が感じられて楽しめる。 |