NAGANOKEN−KOGEIKAI

県民芸術祭2008参加

第28回 長野県工芸展

松本市美術館 市民ギャラリーA・B

平成20年8月27日(水)〜31日(日)
午前9時〜午後5時
(最終日は午後4時終了)

主 催

長野県工芸会
SBC信越放送

共 催
長 野 県
長野県教育委員会
長野県芸術文化協会
後 援

松 本 市
松本市教育委員会

信濃毎日新聞社

市民タイムス

 

 

 


第28回 長野県工芸展 入賞作品

 審査 委員

 榎 本   徹  (岐阜県現代陶芸美術館 館長)

 外 舘 和 子  (茨城県陶芸美術館 主任学芸員)

 鈴 木   潔  (北澤美術館 学芸部長)

 伊 藤 羊 子  (信濃美術館 学芸チームリーダー)

 小 出 文 生  (長野県工芸会会長)

(敬称略・順不同)

 

審 査 講 評

 
審査委員長 榎本 徹


ここ数年の審査の記憶の中でも、今年の作品のレベルはかなり高い。
  一点、一点質の高い作品が、ジャンルを問わず、バラエティーに富んだ形で出品されたということだ。とくに、人形が全体としても、優れたレベルを見せている。
残念ながら落選した作品は、大きくふたつにわけられる。ひとつはキズや仕上げの雑さなど、技術的な問題が見られた作品で、これは「工芸」というジャンルが、必然的に要求している完成度の必要性という点で理解してほしい。もうひとつは、作品の大きさの問題で、美術館という場に展示して、多くの人に見てもらうには、茶碗などを除いて、自分にしかないメッセージを作品に込めるという意味でも、ある程度の大きさが要求されているということである。
入選した作品の中にも、手をかけすぎて、いい作品を台無しにしてしまったり、たとえば陶芸では、全体としてはいい仕事をしながら、口など一部分に力が抜けてしまい、作品の完成度を壊してしまった作品などが気になった。とはいえ、これが全体のレベルを下げたとはいえず、今回の展覧会が、長野工芸会の展覧会として、ここ数年では、最も高いレベルを示したことを、素直に喜びたい。


長野県工芸会長賞

雲 間

原山桂子(長野市)

人形

長野県知事賞

鉄線編盛皿

小出文生(長野市)

木竹

SBC信越放送賞

陶小紋

大石 操(長野市)

陶芸

長野県教育委員会賞

草木染友禅屏風「海鳴」

小山仁郎(長野市)

染織

信濃毎日新聞社賞

窯変六角面取り壷

佐藤今朝寿(松本市)

陶芸

北澤美術館賞

蛞蝓飾針

長井一馬(大町市)

金工

 


長野県工芸会長賞

雲 間(人形)

原山桂子(長野市)

 雁皮紙ととうもろこしの包皮で作った人形である。無着色の天然素材の色によって鬼の子供を表現している。 あえて彩色せず、生成りの白でまとめた結果、非日常的な白昼夢の中でまどろむような不思議な存在感の表出に成功している。
  白木の台座とのバランスもよく考えられていて、十分に抑制の効いた構成力が光る作品といえる。

 


長野県知事賞

鉄線編盛皿(木竹)

小出文生(長野市)

 先染めした緑色の竹ひごがさわやかな表情を醸し出している。白竹と重なる部分は色彩に変化が生じ、濃淡二色の緑が奏でるやわらかいハーモニーが心地よい。
  平たく幅広の竹ひごを用いた鉄線編は、工程の途中でひごに割れが生じやすいため、高度な技術が必要となる。この作品ではそうした不安を感じさせない安定した技の冴えが発揮されている。縁巻きにもさりげなく網目の精粗の変化があり、裏面には張り竹が六本放射状に巡らされるなど、さりげない演出も心憎い。

 

 


SBC信越放送賞

陶小紋(陶芸)

大石 操(長野市)

 中国の伝統的な陶磁器の形態をベースにしながらも、内側からエネルギーが膨れ上がり、もはや爆発寸前といった緊張感がみなぎっている。
  底が小さいという不安定さすら、こうした緊張感を増長させているようだ。破裂しそうな模様は、黒地の網目によって、微妙に変化する色彩を一層鮮やかに見せ、草間弥生のネットペインティングような効果さえ生み出している。形態、色彩ともに個性的な作品である。

 


長野県教育委員会賞

草木染友禅屏風「海鳴」(染織)

小山仁郎(長野市)

 二曲一隻の画面に松林と海原を対角線上に配し、構図自体に動きを持たせている。
  細やかな松林の模様に対し、波は様式化を施しながらも、ダイナミックに表現している。波の表現は、青海波をベースとしながらも、これを大胆に変容させたことによって生み出された効果であり、伝統的な意匠を踏まえつつ、新鮮な動きを生み出している。パステル調の色彩のバランスも心地よい。

 


信濃毎日新聞社賞

窯変六角面取り壷(陶芸)

佐藤今朝寿(松本市)

 信楽系統の土であろうか、大らかな明るい焼き締めのフォルムである。垂の高さに対する6つの面のバランスもよく、素直な中に現代の作家らしい洗練された造形感覚もみられる。
とかく焼き締めは、古陶の良さにひきずられ、あるいは、窯変に寄りかかることで全体の姿かたちが見えなくなることも多い中、この作家にはそうした惰性が微塵もない。
一方で、焼き締めならではの素朴な土の面やラインの美しさもよく心得ており、清々しい逸品である。

 


北澤美術館賞

蛞蝓飾針(金工)

長井一馬(大町市)

 わずかに体をくねらせたナメクジが、ちょろりと舌を出している。はて、ナメクジに舌はあっただろうかと考えるも、あって不思議はないと思わせる不思議な造形的説得力がある。
ナメクジの背に走る帯状の模様が見事な彫金技術で施され、目玉の赤い輝きも利いている。
審査にあたり、胸に付けてみると上下左右いずれの方向に付けても面白い。以前もこの作家はムカデをモチーフにしていたが、長井の手にかかるとどんな生き物もいとおしくなる。


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入選者一覧

会…長野県工芸会会員

灰釉動輪耳付花入
松本邦之
陶芸
象嵌大鉢
松本邦之
陶芸
白化粧壺
松本フサ子
陶芸
大地'08-1
天戸 真
陶芸
鳥の記憶
木村由里子
陶芸
寂流
塚田光弘
陶芸
新涼天界湿原
塚田光弘
陶芸
焼締窯変壷「山頭火」
宮澤 衛
陶芸
瑠璃釉輪花鉢
宮澤 衛
陶芸
黄瀬戸釉大鉢
町田俊文
陶芸
入道雲
アーグネシュ・フス
陶芸
彩雲の壷
平林一則
陶芸
陶・古いバック
宮澤菊男
陶芸
鉄釉花瓶
宮澤菊男
陶芸
釉彩切込深鉢
杉野精一
陶芸
焼締大花器
小林洋一
陶芸
うず潮
大石 操
陶芸
陶小紋
大石 操
陶芸
Flow of breeze
丸山奈留美
陶芸
遠音
土屋智恵
陶芸
曙光
百瀬元明
陶芸
海上黎明
大槻 隆
陶芸
変形焼締四角柱
大槻 隆
陶芸
鉄釉大花器
宮田典明
陶芸
灰釉大花器
宮田典明
陶芸
曜変天目(組)
丸山正行
陶芸
焼き締め花生 古竹
畔上清司
陶芸
緋襷き櫛目壺
原民雄
陶芸
金彩六瓢文飾皿
村越久子
陶芸
釉裏金彩平茶わん
村越久子
陶芸
焼締粉引印文壺
原田真弓
陶芸
炭化布目線花器
宮澤道隆
陶芸
彩泥線文花器
滝沢敏子
陶芸
彩色秋響
坂口禮子
陶芸
葉光
坂口禮子
陶芸
釉彩紋壺「KiMoNo」08
大森国子
陶芸
練込壺「Birth」
大森国子
陶芸
のぎめ線紋花器
酒井富美子
陶芸
花器・岳
吉田美恵子
陶芸
彩泥波紋鉢
西村純一
陶芸
雲隠れ
谷口節子
陶芸
信州の風
谷口節子
陶芸
筒型彩陶
和田園江
陶芸
窯変耳付き壷
佐藤今朝寿
陶芸
窯変六角面取り壷
佐藤今朝寿
陶芸
練上薔薇文組皿「二重奏」
寺島ひとみ
陶芸
大鉢
竹内君則
陶芸
カンブリアのカンブリアたる理由
西澤伊智朗
陶芸
六角青釉壺
山口美樹子
陶芸
for you
寺島久子
陶芸
彫る流水紋花器
水野英男
陶芸
青いしずく
青木一浩
陶芸
瑠璃釉椿紋大皿
篠田明子
陶芸
染付あざみ花瓶
篠田明子
陶芸
色絵菖蒲文花器
寺澤里美
陶芸
線文平鉢
水野雅史
陶芸
線文鉢
水野雅史
陶芸
春愁
裄V佑三
陶芸
紺碧彩磁金波文鉢
篠田弘明
陶芸
青白磁刻波大皿
篠田弘明
陶芸
色象嵌花文深鉢
小林陶春
陶芸
練込み炭化焼き壺
浜 利秋
陶芸
紫紅釉輪花鉢
土屋 晃
陶芸
志野水指
野池光昭
陶芸
黒のmovement
荻原恒夫
陶芸
風のきざむもの
高地善之
陶芸
月殻
小池智久
陶芸
均窯手耳付の器
塚田信治
陶芸
長石釉白樺文皿
早川研夫
陶芸
マット釉白樺文鉢
早川研夫
陶芸
薔薇貫入釉花器「炎を抱く薔薇」
本間友幸
陶芸
大皿「蒼翠の水面」
本間友幸
陶芸
柔らかな壺
桐田恵子
陶芸
舎利への念い
北澤良子
陶芸
女郎蜘蛛
北澤良子
陶芸
彩泥籐文花器
宮原陽子
陶芸
天宙
宮澤弘幸
陶芸
草木染友禅屏風「海鳴」
小山仁郎
染織
草木染訪問着「霧氷」
木村不二雄
染織
紬織着物「秋草の香」
中林康江
染織
紬織着物「むらさき野」
丸山匡子
染織
秋麗
大島和子
人形
誓い
竹腰米子
人形
長閑
赤津律子
人形
時雨
伊藤貞子
人形
潮の音
金井すみ江
人形
野・越え
百瀬玲子
人形
銀河
百瀬玲子
人形
いたずら天使
戸井田紗代子
人形
和み
戸井田紗代子
人形
夕凪
山川佳子
人形
湖畔
下沢竹子
人形
雲間
原山桂子
人形
おとうと
二宮ます子
人形
羊守り
大平時江
人形
う〜ん おもたいなあ〜
大平時江
人形
進化と幻想の群れ
宇野修栄
人形
旅立ち
宇野修栄
人形
おてつだい
土屋幸子
人形
ル・シャポー
塚田菊枝
木竹
翔舞
塚田菊枝
木竹
鉄線編盛皿
小出文生
木竹
杢 其ノ二
小口富男
木竹
愛し子
元木陽子
木竹
押絵「雁がゆく」
中村トシ
その他
押絵 「梨の花」
柄木田美代子
その他
七宝蓋物「空」
月岡栄子
その他
七宝透胎「楽しい一時」
月岡栄子
その他
蛞蝓飾針
長井一馬
金 工
花と蜂飾針
長井一馬
金 工
泥釉七宝蓋物群猫
平林義教
その他
大花台乾漆巻足
酒井直二
漆芸

 

 


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北澤美術館「長野県工芸展秀作展」

「第28回長野県工芸展」入選作品の中から、

入賞作品およびそれに準ずる作品を

審査委員により選抜しました。

会 期

平成20年
  9月16日(火)〜 9月28日(日)

4月〜10月/9:00〜18:00

※年中無休

場 所

北澤美術館本館

諏訪市湖岸通り1−13−28

 

本年度 選抜作品

鳥の記憶
木村由里子
陶芸
寂流
塚田光弘
陶芸
焼締窯変壷「山頭火」
宮澤 衛
陶芸
陶小紋
大石 操
陶芸
炭化布目線花器
宮澤道隆
陶芸
彩色秋響
坂口禮子
陶芸
窯変六角面取り壷
佐藤今朝寿
陶芸
染付あざみ花瓶
篠田明子
陶芸
線文鉢
水野雅史
陶芸
春愁
裄V佑三
陶芸
青白磁刻波大皿
篠田弘明
陶芸
風のきざむもの
高地善之
陶芸
マット釉白樺文鉢
早川研夫
陶芸
誓い
竹腰米子
人形
長閑
赤津律子
人形
潮の音
金井すみ江
人形
野・越え
百瀬玲子
人形
湖畔
下沢竹子
人形
雲間
原山桂子
人形
鉄線編盛皿
小出文生
木竹
七宝蓋物「空」
月岡栄子
その他
蛞蝓飾針・花と蜂飾針
長井一馬
金工

 

 


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