NAGANOKEN-KOGEIKAI

県民芸術祭2012参加

第32回 長野県工芸展

長野市生涯学習センター(トーゴウエスト)
4階大学習室2・3

平成24年(2012年) 9月18日(火)~9月22日(土)

午前9時~午後5時
(最終日は午後4時終了)

 

主 催/ 長野県工芸会・ SBC信越放送

共 催/ 長野県・ 長野県教育委員会・ 長野県芸術文化協会

後 援/ 長野市・ 長野市教育委員会・信濃毎日新聞社

 

 


 審査 委員

 榎 本   徹 (岐阜県現代陶芸美術館 館長)

 外 舘 和 子 (工芸評論家、愛知県立芸術大学非常勤講師)

 鈴 木   潔 (滋賀県 黒壁美術館 館長)

 横 山 勝 彦 (長野県信濃美術館  副館長)

 小 出 文 生 (長野県工芸会 会長)

(敬称略・順不同)


 

審 査 講 評


審査委員長  鈴木 潔

 

 第32回長野県工芸展は、今回は137点の応募があり、
そのうち108点が入選した。会員の出品作は全体的に洗練度を高めた仕事が多く、ベテラン諸氏のたゆまぬ研鑚と乾坤一擲の気迫を感じさせる作品が多くみられたのは心強い限りである。

 入賞作品6点はいずれも技巧の安定感と風格を備え、長野県工芸会の水準の高さを衆知させるものであろう。審査員5名が選んだ入賞候補作品は20数点を数え、僅差で惜しくも賞を逸した作品も少なくなかった。若手・中堅作家も意欲的なチャレンジ精神を示す作品を出品されていて、それぞれの持ち味を維持しつつ、脱皮して一回り大きくなるがごとく、マンネリ化への自戒の意識の高さをうかがわせる仕事を示していたと思う。自分にないものを無理に追いかけたりせず、信州の風土に立脚する自らの足元を真摯に見つめ、一歩ずつ着実に前に進んでゆく姿勢は、これからも大切にしていただきたい。

 長野県工芸会は、年々、出品作品のレベルアップが進んでいる。それを目の当たりにできるのは、審査に携わっている審査員一同の喜びであり、工芸会の発展は慶賀に堪えない。


 

第32回 長野県工芸展 入賞作品

長野県工芸会長賞

鉄 釉 壺
田中無斎
陶芸

長野県知事賞

紬織着物「雪の川」
中林康江
染織

SBC信越放送賞

花 宿
原山桂子
人形

長野県教育委員会賞

黄瀬戸草文鉢
塚田光弘
陶芸

信濃毎日新聞社賞

有線七宝菊花文棗
大塚里美
諸工芸
北澤美術館賞
宵の白樺図鉢
早川研夫
陶芸

 


長野県工芸会長賞

1

鉄 釉 壺(陶芸)

田中無斎 (長野市)

 
 充分な張りのある堂々たるフォルム。

 轆轤で挽きあげるかたちの美しさを最大限に引き出した揺るぎない存在感を示している。鉄釉を重ねてかけたのであろうか、釉薬の流れた跡も、かたちに即していかにも自然であり、発色も落ち着いた風情である。
少しも奇をてらうことなく、ひけらかす風もない作品だが、それゆえの静かな風格がにじみ出ている。


長くやきものと向き合ってきた作者ならではの、一つの到達点であろう。


(外舘和子)


 

長野県知事賞

2

紬織着物「雪の川」(染織)

中林康江 (木島平村)

 
 色彩を制限し、構成も単純化したこの着物は、一見してシンプルに見える。しかし近寄って細部を見るとき、繊細で微妙な色彩と細い線による複雑なニュアンスに富んでいることに気づく。
「雪の川」という題名に明瞭に現れているように、単純であると同時に複雑極まりない情景を作者は見事に表現している。抑制が効いた、とてもモダンな作品である。

(横山勝彦)


 

SBC信越放送賞

3

花 宿(人形)

原山桂子 (長野市)

 
 「花宿」と題されたこの作品は、小さな男の子が花のなかから姿を現した瞬間をあらわしている。男の子は、この花に住んでいる妖精だろうか。あどけなく無垢な存在を卓抜な技術で造形した作品である。
子供の表現も、人形らしさという通念に閉ざされるのではなく、立体表現としても適切である。
通常は目に見えない存在を造形化することに成功した、品格のある作品である。


(横山勝彦)


 

長野県教育委員会賞

4

黄瀬戸草文鉢(陶芸)

塚田光弘 (長野市)

 
 のびやかな鉢に、青々とした麦が線刻されている。
黄瀬戸の釉薬も、やや薄目にされ、その白にちかい黄色と、銅発色の青い麦がいいコントラストを見せている。麦もあまり文様化されずに、とくに穂の部分がのびやかに描写されており、効果をあげている。
線刻は、筆で描く何倍も強い表現を可能にするもので、その効果が、麦の穂の表現をより強いものにしている。
熟達したろくろの技術と、銅発色をよりきっちりと鮮やかにするために、わずかなコバルトをおいた上に銅を施すなど、 ベテランらしい豊かな知識が、この作品を新鮮なものにしているといえよう。

(榎本徹)


 

信濃毎日新聞社賞

5

有線七宝菊花文棗(諸工芸)

大塚里美 (東京都)

 
 若草色の素地に七宝つなぎ風の格子模様をめぐらしている。

 それぞれの格子の交わる箇所に白い四弁花を置き、そこから緩やかに湾曲する薄茶色の葉が伸びている。それらの葉が連続して波状文となり、格子に斜行する角度で交わる構成となる。
格子の中心には青と白に色分けされた12弁の菊花文を配し、精緻な色彩構成の妙を示している。胴部の底に近い部分で格子は終わり、やや濃い目の緑素地が底まで続く。
一見無地のように見えるが、底の中心にはおおきな菊花が一輪描かれて、見るものの意表を突く心憎い演出がある。

(鈴木 潔)

 


 

北澤美術館賞

6

宵の白樺図鉢(陶芸)

早川研夫 (松本市)

 
 白樺の木の梢の向こうに青白く光る月。
青のグラデーションを効果的に用いて、空気の透明感をも思わせる風景を表現している。
表面のマットな質感も全体の印象を柔らかいものにし、幻想味を与えている。
うつわの円形から立ち上がる側面の角度も美しい。
白樺はこの作者が得意とするモチーフ。
さらに、やきものとしての技術的な完成度の高まりが、見る者をその風景の中へいざなう確かな説得力となっている。

(外舘和子)

 

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入選者一覧

会員…長野県工芸会会員

黒赤釉花器
青木よし子
陶 芸
追想
赤津律子
人 形
壺~冬の訪れ~
荒井寿子
陶 芸
無限の宙(そら) Ⅱ
荒井寿子
陶 芸
緑の風薫る
荒井由起美
陶 芸
環12-A・B
安藤哲夫
陶 芸
焼締壺
宇都宮良幸
陶 芸
灰の中の夢
宇野修栄
陶 芸
旅の終わり
宇野修栄
陶 芸
陶小紋火口湖
大石 操
陶 芸
有線七宝菊花文棗
大塚里美
諸工芸
釉彩紋壺「蕾の時間」
大森國子
陶 芸
釉彩紋壺「山幾重」
大森國子
陶 芸
豊作
大輪冨美子
人 形
引き出し黒茶碗
荻原恒夫
陶 芸
波紋灰釉壺
小澤義忠
陶 芸
焼締流線紋花入
金子繁三
陶 芸
金子繁三
陶 芸
焼締角筒花入
川合 皓
陶 芸
流線鎬紋壺
木内洋介
陶 芸
備前隠唐草文様壺
北沢 幸男
陶 芸
望郷Ⅱ
木下紀子
染 織
草木染友禅訪問着「ななかまど」
木村不二雄
染 織
見上げる穴Ⅱ
小池智久
陶 芸
小池智久
陶 芸
櫛目六角花籃
小出文生
木 竹
灰陶・器 繋ぐ
高地善之
陶 芸
長花器
小丹枝かつ代
陶 芸
色象嵌花文深鉢
小林陶春
陶 芸
変形焼締め花器
小林洋一
陶 芸
清流
駒津ゆかり
陶 芸
大壺「大地の誕生」
駒津ゆかり
陶 芸
透光秋
小山弘道
諸工芸
彩泥花器
酒井富美子
陶 芸
化粧掻落し文鉢
坂口禮子
陶 芸
着物茶丘の春
佐藤亜都子
染 織
帯 桜 桜
佐藤亜都子
染 織
窯変六角壷「包容」
佐藤 今朝寿
陶 芸
窯変面取り壷「仰望」
佐藤 今朝寿
陶 芸
うねる器
篠田明子
陶 芸
風船蔓花瓶
篠田明子
陶 芸
彩何織部器
篠田弘明
陶 芸
砂の器(この星に生命は存在するか)
篠田弘明
陶 芸
くれる秋
下澤竹子
人 形
おぼろ月
下澤竹子
人 形
厳冬の諏訪湖
髙山 栄
陶 芸
再生の符
竹内君則
陶 芸
春宵
竹腰米子
人 形
鉄釉壺
田中無斎
陶 芸
黄瀬戸草文鉢
塚田光弘
陶 芸
志野砧花生
塚田光弘
陶 芸
七宝箱物「華里」
月岡栄子
諸工芸
七宝香合「悠々」
月岡栄子
諸工芸
月白渦潮紋鉢
土屋 晃
陶 芸
黒い台風
土屋 晃
陶 芸
窓の外は朝日が舞い降りる
坪内真弓
陶 芸
これを武器に戦えるだろうか
坪内真弓
陶 芸
練上花紋八角鉢
寺澤里美
陶 芸
吹墨色絵草花文組鉢
寺澤里美
陶 芸
練上薔薇文三角組鉢
寺島ひとみ
陶 芸
粉引井戸茶碗
中谷隆夫
陶 芸
紬織着物「笹ほたる」
中林康江
染 織
紬織着物「雪の川」
中林康江
染 織
森の記憶~鎮守~
中山 康
陶 芸
蟻の城~bone~
中山 康
陶 芸
桧ヘギ目勾玉多用器
那須野 茂
木 竹
彷徨の果てにたどりつく物
西澤伊智朗
陶 芸
3つの果実のピッチャーたち
西澤伊智朗
陶 芸
彫紋深鉢
西村純一
陶 芸
碧釉香炉
西村純一
陶 芸
疾風
野池光昭
陶 芸
碧皿
浜 利秋
陶 芸
アトリエ産 果実
浜 利秋
陶 芸
宵の白樺図鉢
早川研夫
陶 芸
はなみずき文花器
早川研夫
陶 芸
唐草紋 花器
原民雄
陶 芸
花宿
原山桂子
人 形
泥彩せんのう文信楽鉢
廣瀬弘司
陶 芸
掻き落しけし文盛鉢
廣瀬弘司
陶 芸
月見そば花器
藤岡貞夫
陶 芸
焼締輪花入子
星美沙子
陶 芸
堀内珠実
陶 芸
ココロノカタチ
堀内珠実
陶 芸
薔薇貫入釉陶板
本間友幸
陶 芸
自然釉水指
本間友幸
陶 芸
松本邦之
陶 芸
Blossom
丸山奈留美
陶 芸
Spiral
丸山奈留美
陶 芸
壺「煌」
丸山正行
陶 芸
線文深鉢
水野雅史
陶 芸
焼締双耳大花器
宮坂虔二
陶 芸
黄瀬戸釉花入
宮坂虔二
陶 芸
自然灰茶器
宮澤弘幸
陶 芸
孔雀釉輪花鉢
宮澤衛
陶 芸
黄瀬戸蕪文鉢
宮澤衛
陶 芸
秋望
向山智充
陶 芸
禾目天目 大皿
村越久子
陶 芸
禾目天目 香炉
村越久子
陶 芸
高い木の穴
百瀬玲子
人 形
昔も今も
百瀬玲子
人 形
波動
栁澤佑三
陶 芸
あかがねの響き
山岸良男
金 工
幾何学紋様 皿鉢
湯本万太郎
陶 芸
焼締め大皿
吉田尚史
陶 芸
七宝 蓋物「想い出」
米本千穂子
諸工芸
七宝 飾り皿「眠る森」
米本千穂子
諸工芸
流れ
六川邦夫
陶 芸
線文花器
和田園江
陶 芸

北澤美術館「長野県工芸展秀作展」

「第32回記念長野県工芸展」入選作品の中から、

入賞作品およびそれに準ずる作品を

審査委員により選抜し展示します。


■会場:北澤美術館 本館

■会期:2012年 9月24日(月)~10月 8日(月) *会期中無休

■開館時間:9月中  9:00~18:00

      10月より 9:00~17:00

 ※閉館時間の30分前までにご入館ください。

■入場料:大人800円  中学生400円 小学生以下無料
団体(8名様以上) 大人700円  中学生300円 小学生以下 無料

本館・新館共通券/
大人1000円 中学生500円 小学生以下 無料
団体(8名様以上) 大人900円  中学生400円 小学生以下 無料

■主催:財団法人北澤美術館、長野県工芸会

■協賛:株式会社キッツ

■住所:長野県諏訪市湖岸通り1-13-28

■電話:0266-58-6000

 

灰の中の夢
会員
宇野修栄
陶 芸
有線七宝菊花文棗
一般
大塚里美
諸工芸
釉彩紋壺「蕾の時間」
会員
大森國子
陶 芸
櫛目六角花籃
会員
小出文生
木 竹
色象嵌花文深鉢
会員
小林陶春
陶 芸
大壺「大地の誕生」
一般
駒津ゆかり
陶 芸
彩泥花器
会員
酒井富美子
陶 芸
彩何織部器
会員
篠田弘明
陶 芸
砂の器(この星に生命は存在するか)
会員
篠田弘明
陶 芸
再生の符
会員
竹内君則
陶 芸
春宵
会員
竹腰米子
人 形
鉄釉壺
会員
田中無斎
陶 芸
黄瀬戸草文鉢
会員
塚田光弘
陶 芸
練上薔薇文三角組鉢
一般
寺島ひとみ
陶 芸
桧ヘギ目勾玉多用器
一般
那須野 茂
木 竹
アトリエ産 果実
会員
浜 利秋
陶 芸
宵の白樺図鉢
会員
早川研夫
陶 芸
花宿
会員
原山桂子
人 形
Blossom
会員
丸山奈留美
陶 芸
高い木の穴
会員
百瀬玲子
人 形


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